「フィリピンは物価が安いから、私たち日本人にとっては暮らしやすいのかな?」なんて安易に考えがちです。

しかし、観光で行くのか、仕事で行くのか、それとも起業するのか、立場によって変わってきます。

思わぬ税負担があったりするので、税金について少し予備知識を入れておきましょう!

税金の種類

税金
フィリピンにも日本と同じような税金、日本にない税金とさまざまです。

フィリピンの税金の種類は以下の通りです。

国税(National Tax)
(直接税)…税金を納める人と税金を実際に負担する人が同じである税金
・所得税(個人・法人)
・相続税
・贈与税
・キャピタルゲイン税

(間接税)…税金を納める人と税金を実際に負担する人が異なる税金
・付加価値税(VAT)
・百分率税
・物品税
・印紙税

地方税(Local Tax)
・地方事業税
・不動産取引税

市・自治区税(Municipalities Tax)
・固定資産税

馴染みのある税の名前、初めましての名前あると思いますが、今回は日々の生活に身近な税金をピックアップしていきます。

個人所得税

所得税

フィリピンの個人所得税は累進税率で、国民や外国人に対して0〜35%で課税されます。

納税対象者は?

a居住国民(フィリピンに住むフィリピン人)
b非居住国民(国外に住むフィリピン人)
c居住外国人(フィリピンに住む外国人)
d非居住外国人(常にフィリピンに住んでる訳ではないが、フィリピンで所得がある外国人)
 *フィリピン滞在日数180日以上か、180日未満で税率が変わります。

課税対象所得は?

a〈フィリピンに住むフィリピン人〉はフィリピン以外の国々に所得がある場合は国内所得と合算します。

b〈国外に住むフィリピン人〉はフィリピン国内の所得だけに納税義務があります。

c+d〈外国人〉はフィリピンで労働してる時点で納税義務があるので、自国で給料を受け取る場合でも、給料にボーナスを合算して申告します。

フィリピン駐在員さんはどうすれば良いの?確定申告は?

駐在さんの場合、日本の親会社から直接日本の個人口座に直接振り込まれる場合も、『フィリピンで働いた』という事実がある限り、フィリピンでの納税義務が生じます。

その際、フィリピンの累進課税率が適応されるので要確認です。

(確定申告について)
①フィリピンでフィリピンでの所得を確定申告し、納税
②日本で日本の所得+フィリピンでの所得を確定申告し、納税

①と②を両方行う必要がありますが、これだとフィリピンでの所得が二重課税されちゃいます!

そうならないように、フィリピンで確定申告、納税後に、日本で『外国税額控除制度』を適用する必要があります。(必要書類等は日本の国税庁より入手可能)

これを利用することで、フィリピンで支払った税額分を、日本で支払う税額分から控除することができます。

20年ぶりに税制改革!個人所得税率は?

フィリピンの所得税は累進税率です。

個人の所得状況によって税率0% もしくは20-32%かが決まります。

2017年12月にドゥテルテ大統領が進めるインフラ整備や貧困削減に向けて、税制が改正されました。

その名も”TRAIN(Tax Reform Act for Acceleration and Inclusion)”!

この新税制はザックリと「庶民からはお金取らないけど、お金持ちからは多めにもらいます」という内容です。

これによって99%の納税者が減税され、1%の富裕層が増税されることになりました!

また、年間P90,000以下のボーナスや13ヶ月目給与も所得税が免除です。

累進課税率は以下の表をご覧ください(2018年1月から2022年12月まで)

If Taxable Income is: Tax Due is:
Not over P250,000 0%
Over P250,000
but not over P400,000
20 % of the excess over
P250,000
Over P400,000
but not over P800,000
P30,000 + 25 % of the excess over
P400,000
Over P800,000
but not over P2,000,000
P130,000 + 30 % of the excess over
P800,000
Over P2,000,000
but not over P8,000,000
P490,000 + 32 % of the excess over
P2,000,000
Over P8,000,000
but not over P 500,000
P2,410,000 + 35 % of the excess over
P8,000,000

例えば、年間所得がP250,000以下の人については納税義務はありません。

年間所得がP250,000以上P400,000以下の人の税率は、P250,000を超える部分の20%を納付します。

年間所得がP400,000以上P800,000以下の人の税率は、P30,000+ P400,000を超える部分の25%を納付します。

*非居住外国人(フィリピンでの滞在期間が暦年で180日以下の外国人)は総所得に対して一律25%の税率(フラットレート)が適応されます。ただし、滞在180日以下でも事業が継続している場合は表と同じ税率が適応されます。

ちなみに2023年からの累進課税率は以下の表の通りです(2023年1月以降)

If Taxable Income is: Tax Due is:
Not over P250,000 0%
Over P250,000
but not over P400,000
15% of the excess over
P250,000
Over P400,000
but not over P800,000
P22,500 + 20 % of the excess over
P400,000
Over P800,000
but not over P2,000,000
P102,500 + 25 % of the excess over
P800,000
Over P2,000,000
but not over P8,000,000
P402,500 + 30 % of the excess over
P2,000,000
Over P8,000,000
but not over P 500,000
P2,202,500+ 35 % of the excess over
P8,000,000

日本で働くVS フィリピンで働く

日本人からすれば、年間P250,000(約52万円)は容易に稼げる金額なので、多くのフィリピン駐在員の方は納税対象者になると思います。

例えば、年間330万円の所得がある日本人が、会社の意向でフィリピン駐在員になった時、
年間所得税に二国間でどのような違いが出るか比較してみました。

〈日本で納める所得税(住民税含む)〉=¥562,500           
〈フィリピンで納める所得税〉    =¥761,986

というように、約20万円もの差が出ます。(2019年1月)

なんだか日本にいる方が良く見えるかもしれませんね。

ところが、日本にいる分国民年金保険料・厚生年金保険料・健康保険料など引かれます。

このような社会保険料も考慮した上で、考えなければいけません。

場所が変わっても日本と同等の給与・生活水準を維持できるかどうか会社側としっかり確認しておきましょう。

付加価値税(≒フィリピンの消費税)

付加価値税
「付加価値税」というのが、フィリピンの日本でいう消費税にあたるもので、”VAT(Value Added Tax)”と呼びます。

フィリピンにおいて、VATは一律12%と設定されていて、多くの食料品やサービスに対してこの税率が課されます。

それにしても日本が消費税8%なのに、貧困層が厚いフィリピンにとってVAT12%は重税ですよね。

とはいえ、日本人にとってはアレもコレも安いので、VATは気にならないと思います。

スーパーやカフェに行くと、価格表示はVAT込みになっています。

VATの金額を確認したければレシートに記載されているので簡単にチェックできますよ。

↓こちらは私がドーナツ屋さんで買い物したときのレシートです。
レシート

百分率税

付加価値税(VAT)の代わりに課される「百分率税」という税金が存在します。

特定の業種ごとに決まった税率が課される売上税の一種です。

私たちの生活で身近なサービスをあげると、公共サービス(電気・ガス・水道)や、運輸やテレビ放送、金融・保険サービスなどがあり、それぞれ決まった百分率税が課されます。

物品税

フィリピン国内で生産される特定の商品や輸入品に対して、VATに加えて「物品税」が課されます。

酒、タバコ、香水、燃料、鉱物、自動車、宝石、ヨットなどのいわゆる贅沢品にかかるため、別名「贅沢税」と呼ばれることもあります。

税制改正後2018年からはタバコ、燃料、自動車、鉱物については増税になり、年々上がって行くそうです。

さらに今回新しく、「甘味料飲料」や「美容手術」も物品税の対象に仲間入りしました。

まとめ

・年間所得25万ペソ(約52万円)以下は所得税ゼロ!

・年間所得25万ペソ(約52万円)以上の富裕層は増税される

・フィリピンの消費税(VAT)は12%で日本より高く、意外に重税国

・物品税はじわじわ上がっていく

フィリピンは、観光に来る分には、マッサージ1時間1000円以下ですし、タクシーも非常に安く、楽しめる国です。

しかし、働くとなると所得税の面で状況が変わるので注意が必要です。

また、2018年に入り、各種物品税の増税による影響で物価上昇が止まらないフィリピン。

今は安いと感じていても、いつか生活に負担が出てくる日が来るかもしれません。

さて、いつまで美味しい思いが出来るのでしょうか。

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