フィリピンの経済成長率は、現在ASEAN主要国の中でもトップクラスです。

しかし、1990年代まではASEAN主要国の中で最下位だったのはご存知でしょうか?

なぜこんなにも急成長を遂げることができたのでしょうか。

今回の記事では、フィリピンの経済成長率について詳しく紹介します。

フィリピンとは

国旗

フィリピンは、東南アジアに位置するフィリピン諸島を占める共和制国家です。

首都は、ルソン島にあるマニラになります。

フィリピン海を挟んで日本とパラオ、ルソン海峡を挟んで台湾、スールー海を挟んでマレーシア、セレベス海を挟んでインドネシア、南シナ海を挟んで中国およびベトナムと対する島国です。

16世紀にスペインの植民地となり、皇太子フェリペにちなみ命名された国で、1901年の米西戦争の結果米国領となり、1946年に独立した国です。

フィリピンの人口

フィリピンの人口は、近年1億人を突破し、ASEAN諸国の中では、インドネシアに次いで2位です。

日本人の平均年齢が46.5歳なのに対して、フィリピン人の平均年齢は24歳と若く、この人口ボーナスが2045年まで続くとされています。

現在のフィリピンは、セブ島の街をはじめ、至るところに子どもたちがいて活気があり、今後フィリピン経済が発展することを示唆しているようです。

フィリピンの場所

フィリピンは西太平洋に位置する東南アジアの国で、7,000 以上もの島で構成されている国です。

地図で見ると、日本から南西、台湾の南に位置しており、成田からマニラへは直行便で約4時間〜4時間30分で到着します。

フィリピンには、雨季と乾季があり基本的に常夏なのも特徴です。

フィリピンへの留学が多い理由の1つに、首都マニラのあるルソン島、セブ島のある中部ビサヤ諸島、南のミンダナオ島の3つが、言語がそれぞれ異なるところにあると言えます。

フィリピンは「アジアの病人」?

フィリピンといえば、アジアの中でも特に貧しい国といったイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか?

かつては、「アジアの病人」とまで言われるほど経済が落ち込み、アジアで初めて対外債務のデフォルトに追い込まれ「アジアの病人」と呼ばれるほど経済不振が深刻化した国でもあります。

しかし、その後は経済成長率が好転して2012年以降の経済成長率は、ASEAN主要国の中でもトップクラスまでに成長。

この経済成長の背景には、ODAを含む日本の支援なども関係していると言われています。

1960~2012年のコミットメントベース累計で、援助額は、日本2国間ODAの累計では、インドネシア、中国、インドに次いで第4位にランクイン。日本はフィリピンにとって、最大の援助供与国と言えるのです。

フィリピンの実質GDP成長率は、2012年には6.7%と高い水準を記録し約2500億USドル、2017年のGDPは、約3,000億USドルで世界190カ国中36位(日本は3位)まで上がり、現在では、「アジアの病人」の汚名を返上していると言えます。

フィリピンの経済成長率の背景

フィリピンの経済成長率は、2017年の第4・四半期で76四半期連続の増加を記録。

同10月-12月期は、鉱工業生産とサービス部門、農業部門が好調だったようです。

ドゥテルテ政権によるインフラ支出の増加により、フィリピンの経済成長率は2018年も堅調な勢いが続くと予想されて、2018年現在も経済成長率が6%台をしっかりとキープして推移しています。

GDPのグラフ
出典 : https://www.foreland-realty.com/

今後のGDPもこのグラフのように右肩上がりと予想されており、フィリピンは、「アジアのライジング・スター」と言われています。

フィリピンの急激な経済成長には大きな理由として“個人消費の拡大”が挙げられます。

日本国内で働いているフィリピン人を多く見かけるかと思いますが、この在外フィリピン労働者(OFW)からのフィリピン国内への送金が、個人消費拡大の要因とされています。

ASEANは成長が著しいと言われている中、フィリピンだけは別格で、4年前に人口が1億人を突破し、世界12位。

高い出生率を誇り若者が多いフィリピンは、2050年には1億7000万に達すると言われており、日本と違い高齢者が少なく、若年層が多いのもフィリピンの経済成長率を手助けしていると言えます。

人口グラフ
出典 : https://www.foreland-realty.com/

このピラミッド型の人口増加率は、高度成長前(バブル期)の日本にも見られたようで、生産年齢人口は、経済成長の重要な鍵を握っているとされています。

過去から学ぶと、人口が増えている国、若者の多い国は、今後、経済規模が拡大され大きくなる国と予想ができます。

OFWとは

Oversea Filipino Workerの略称。

海外へ出稼ぎに行っているフィリピン人労働者を意味します。

国外で働いているOFWの人数は、1970年代で年間3万6000人。2013年には224万人。

約40年間で60倍以上も増加。

フィリピンのBPO産業は世界第2位

BPOとは、Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略称で、自社の業務プロセスの一部を継続的に外部の専門的な企業に委託することを言います。

業務の一部だけではなく、一連の流れをまとめて委託することが特長であり、一時対応だけではなく、長期的な対応としてのアウトソーシングが可能となります。

このBPO先としてフィリピンが選ばれ、アメリカやアジアを中心としたさまざまな企業がアウトソーシングしています。

選ばれる理由として人件費の安さ、若者が多いということもありますが、それだけではありません。

フィリピンは、アメリカ、イギリスに次ぐ世界3位の英語人口を誇り、フィリピン人のほとんどの方が英語を喋ることができます。

そのため、アウトソーシングの業務内容の多くがコールセンターで、少し前まではコールセンターのBPO産業はインドが独占していたのですが、現在はフィリピンがコールセンターBPOで世界第1位となっています。

欧米などの大手企業がフィリピンに拠点を設け事業を行っているので、このBPOもフィリピンの経済成長率の高さの鍵を握っていると言えます。

フィリピンの貧富の格差

貧しい家族

日本でもよく耳にするようになった「貧富の格差」。

フィリピンにも貧富の格差はあるのでしょうか。

上でも説明したように、フィリピンは東南アジアで2番目に高い経済成長率を誇り、現在ベトナムに次いで2番目です。

ですが、人口の純資産を比較してみると、シンガポール、ブルネイ、マレーシア、インドネシアに次いで5番目に位置します。

Credit Suisseが発行している「Global Wealth Databook」の最新版の調査結果によると、2017年のフィリピン製人の平均資産額は9773ドル(110万円弱)ということがわかりました。

ASEAN諸国10か国で見ると、トップのシンガポールは、平均純資産額が268,776ドル(3,000万弱)と非常に高いのがわかります。

また、100万ドル以上の純資産額を持っているフィリピンの成人数は、38,122人で、人口比にあてはめると、成人全体の0.06%ほどと言うことがわかります。

これは世界の平均値である0.7%と比べても非常に低いと言うことがわかり、激しい貧富の格差があると言えます。

フィリピンのインフレ率

フィリピン統計局(PSA)は、2018年6月の国家インフレ率が5.2%に上昇したと報告しており、これは2012年以来の最高記録です。

インフレは、年初の3.4%から5月には4.6%に上昇しており、市場の成長の勢いが年後半にさらにインフレを押し上げる可能性があると市場は推測しています。

この上昇したインフレは、一般的には望ましくないとみられ、固定給(所得)に対してより高い価格のものが人々を苦しめてしまう可能性があるからです。

また、価格が高ければ同じ商品やサービスにもっと費やさなければならないため、インフレは買いたいという欲求そのものを低下させてしまいます。

インフレは経済成長の良い指標となるのですが、収入と貯蓄も伸びて、一般的な物価上昇に追いつく必要もあるのです。

貧富の格差がとても激しいフィリピンに、この急激なインフレは、貯蓄をどのように管理すべきなのかを問いただしているようです。

まとめ

いかがでしたか?

今回のページでは、フィリピンの経済成長率について詳しく案内してきました。

フィリピンの経済成長率は、現在ASEAN主要国の中でもトップクラスで、急激に成長しているのがわかったと思います。

フィリピンの経済成長率の裏には、私たち日本人の援助もあったからこそ、今のフィリピンがあるとも言えます。

インフレ化もまだまだ進みと予想もされているので、不動産に投資や優良株に投資、為替ファンドに投資するのも良いかもしれません。

是非、このサイトの情報を参考にして、フィリピン経済に注目してみて下さい。

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